なぜ、あなたは2階建てを選ぶのか?平屋をあきらめる前に知っておくこと

平屋

私は住宅設計を本業としていますが、事あるごとに平屋を勧めています。
20坪しかない土地に30坪の平屋を建てる、なんて魔法のようなことはできませんが。
平屋を建てれる土地があるなら、迷わず平屋を建てるべきです。
この記事を読んで、二階建ての呪縛から解放されましょう!

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平屋がいいに決まってる!

自由設計を選んだ以上、お施主様は様々な要望を持っています。
私が設計する中で、これらのほとんどは『平屋で解決する』と思っています。

  • リビングから子供部屋の様子が見たい
  • 年老いた時のために寝室は1階に
  • 家族みんなで使える収納が欲しい

これらの要望は二階建てでは実現しにくく、動線が破綻している場合も多いです。
それが平屋なら合理的にまとまります。
これに関しては、皆さんも薄々気付いているんじゃないでしょうか?
では、なぜ二階建てを選んでしまうのか?

「だって平屋ってお高いんでしょう?」
実はこれこそが、ハウスメーカーによる二階建ての呪縛なのです。

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坪単価に惑わされるな


ハウスメーカーは業務効率を上げるために、坪単価で値段を決めるケースがあります。
これが坪単価売りです。
一般的な住宅の見積もりは、積み上げ方式。
コンクリートが何㎥。柱が何本。キッチンはどこメーカーのこれ。と、各項目を細かく見積りするので、分厚い見積書が必要なのです。
それを標準仕様と坪単価を決めることで、「あなたの家は何坪なのでいくらですね」と見積業務を簡素化できるのです。
お施主様側としても値段がわかりやすい坪単価売り。
実は、この坪単価がくせ者なのです。

二階建てと平屋。同じ床面積であても坪単価は違います。
例えば30坪だったとして、二階建てなら基礎と屋根は半分の15坪で済みます。
概ね平屋の坪単価は二階建ての1割増しぐらいで設定されており、坪単価では平屋が高くなるのは間違いありません。
実際、ハウスメーカーの営業さんも「平屋は高いです」と話している方がほとんどでしょう。

ところが、実際に購入する金額では平屋が高いとは限りません。
それもあって、迷っている人には平屋を勧めています。
どういうカラクリなのか、次から解説していきます。

平屋は高くない!

同じ床面積の坪単価で考えると、当然平屋の方が高くなります。
しかし、最終的な支払総額は二階建ても平屋も、ほとんど変わりません。
これは私の経験から導き出された答えなのですが、仕組みを解説します。

二階建てにあって平屋に無いもの、それは階段です。
階段の占める面積は概ね1坪ですが、計算上1階と2階の両方で計算されます。
つまり、階段が無いだけで2坪面積を小さくできるのです。

先ほど、二階建てと平屋の坪単価は、概ね1割ぐらい差があると書きました。
坪単価が安くて面積の大きい二階建て。
坪単価が高いが面積の小さい平屋。
この2パターンで計算をしてみましょう。

■二階建て
 30坪×80万=2,400万
■平屋
 28坪×88万=2,464万

どうですか?
ほとんど違いがありません。
さらにはトイレが1つで良かったり、間取りも工夫すれば3坪ぐらい小さくすることも十分可能です。
そうなると二階建てで計画している金額よりも安くなるケースも出てきます。
面積が小さくなっても家としての内容は平屋も二階建ても変わりません。

これが私が平屋を勧める最大の理由。
二階建てと同じ内容でも平屋の方が小さく計画できる。
平屋の方が坪単価は高いが、結果として二階建てと同じぐらいの金額にまとまる。

だとすれば、メリットの多い平屋を選びませんか?
平屋が高いと思っている人は、あきらめる前に考え直してください。

平屋のメリット

さあ、金銭的な障害は無くなりました。
ここからは、平屋がいかに素晴らしいかをお伝えし、迷えるあなたを後押ししたいと思います。
それでは参りましょう!

  • 階段が無いので年老いても使いやすい
  • 1、2階で動線が分断されない
  • ファミリークローゼットの効果が最大化できる
  • リビングから子供部屋の様子もわかりやす
  • 時期により子供部屋を他の用途に使える
  • ルンバ1台で全てをカバー
  • 外部のメンテナンスに足場がいらない
  • 耐震性で有利
  • 子供が走り回れる
  • 掃除が楽
  • などなど。。。

ハッキリ言って平屋はメリットだらけです。
それでも迷える人に私は言いたい
「迷わず建てよ!建てなくてもわかるさ!」
平屋がいいのは間違いない

平屋のための土地の広さは?

とは言うものの、広い土地は必要でしょ?
それはそうです。
では、最低どのぐらいの広さがあれば平屋が建つのでしょうか?

敷地面積に関して法的な制限に建ぺい率があります。
建ぺい率とは土地に対して建物面積を定めているもので、地域によっても変わりますので市役所などでご確認ください。

今回は少し厳しめで建ぺい率が80%だった場合を考えます。
計画建物の建築面積が28坪(92.56㎡)だった場合、35坪(115.70㎡)が最低敷地面積となります。
実際は建物まわり1mぐらいはメンテナンススペースとして開ける必要がありますし、駐車場が必要な方もいるでしょう。このあたりを追加検討してみましょう

建物周囲のメンテナンススペースとして38㎡は必要。
駐車場は2台で30㎡となります。
建物面積93㎡+メンテスペース38㎡+駐車場30㎡=161㎡(48.70坪)

手入れも大変なので、庭スペースは必要ない。
家族4人が住める一般的なサイズでいい。
そうであれば、平屋に必要な土地面積は50坪程度でいいでしょう。

まとめ

平屋が高いのは坪単価であり、二階建てに必要な階段分は面積を小さくできます。
結果、支払う金額は平屋も二階建ても変わらないということです。
土地も50坪あれば4人家族が住める平屋と2台分の駐車場が確保できます。

何も知らずに平屋をあきらめるのはもったいない。
正しい知識で、より多くの人が平屋を手にしていただければ幸いです。

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